
強い痛みの欲求は熱しやすく冷めやすい
ギックリ腰、寝違えた、転んだ、ぶつけた。
強い痛みは瞬間的になんとかしたいと強い欲求が湧いてきますが、1週間、2週間と日が経つにつれ大抵の痛みは薄らいできて、気にならなくなります。
どんなに包帯の交換、テーピングの交換、リハビリが必要だといっても痛みが治まるのと合わせて少しずつフェードアウトされていきます。
そういった人をターゲットにするのは問題ないんですが、売り方を間違えるとほぼ高確率でほぼ1ヶ月以内に離脱していきます。回数券を売ったとしても、使い切った時が縁の切れ目です。途中で「このままだと再発しやすいからトレーニングしましょう」とか言って舵切りをしたとしても、一度落ちた欲求を取り戻すことはできないでしょう。
なので、痛みを取ることにフォーカスした患者教育はちょっと工夫が必要で、一人治療院ならもっと知恵を使ったセールスプロセスを組みたいところです。
ニーズとウォンツ
「人は感情で物を買い、理屈でそれを正当化する」という有名な格言みたいなものがあります。
ここから考えると「痛みから逃れたい」という欲求がピークに達している時ほど、回数券やサブスクリプションなどの高額商品が売れやすいと言うことになります。
でもその後に必ず「これは本当に必要だっただろうか?」って考える時がきます。痛みが治まっていれば、なお後悔が強くなってくるかもしれません。そうなるともう追加販売は難しいです。
必要なものと、欲しいものは違います。これらはニーズとウォンツと言い換えられます。
- ニーズは必要なもの
- ウォンツは欲しいもの
治療院にはニーズというものはあんまりないかもしれません。ニーズは生活必需品のようなティッシュやトイレットペーパー、食料品、ゴミ袋といった比較的簡単に手に入るものです。
そう考えると、治療院に来られる時点で「ウォンツ」です。
そしてウォンツは大きく二つに別れます。
- 何かを得たい
- 何かから逃れたい
痛みから逃れたいって言うのは分かりやすいですよね。痛みで困っているんですから、それをなんとかしたいと思っているの容易に想像できます。
でも、何かを得たいというのはなかなか分かりません。
なので、コンサルの入れ知恵でよくグループや一般的な治療院で、患者さんに問診で訊こうとします。
それが「この痛みが治ったら何がしたいですか?」ってやつです。
ウォンツが分からないので、患者さんの口から直接ウォンツを聞き出し、その聞き出したウォンツを叶えるための提案をするっていうのが定番です。

正直そんな面倒なことしてらんない
ウォンツを直接的に聞き出す。
うまく聞き出せなければ、会話の中で職種、生活スタイルや趣味、スポーツなど相手の情報を聞いて推測する。そう言ったことからある程度推測することもできます。
まぁ言語化も大切かとは思います。でも、正直そんなことしたいですか?
僕が「この痛みが無くなったら何をしたいですか?」なんて聞かれたら、
「治療に来なくて良いんで助かります。」ってのが本音ですよ。
でもそんなことは言えないので「子供と遊びたいですねぇ。」とか言うんでしょうけど。
これが日本の素晴らしい文化「本音と建前」です。どうせ聞いても建前なら聞くだけ無駄ですし、僕はできる限り自然にしていたいと考えています。
だから僕は聞きません。
ウォンツが強くないと高額商品は売れない
目的が曖昧なものに高額のお金を支払う人はいません。逆にウォンツがはっきりしてれば高額商品がわりと簡単に売れます。
でも患者さんが来られてからウォンツを知ろうとすると、問診中に不自然なことをしなければなりません。
それをしないためには、マーケティングの段階でそういう人を集めてくれば良いのです。
痛みを取って、
- お孫さんと遊びたい人
- バリバリ仕事したい人
- フットサルを楽しみたい人
- バレエで美しい表現をしたい人
- ゴルフでスコアを伸ばしたい人
他にも色々ありますし、
健康寿命を伸ばしたいって思ってる方もいます。
こうやってそれぞれのキーワードで集めた患者さんのウォンツは、不自然な質問をしなくてもある程度分かりますよね?
でも、皆んな「痛みでお困りの方」って広く網をはって集客するんです。そりゃその先にある患者さんのウォンツなんてバラバラで当たり前ですし、聞くしか無いですよね?
回数券などの高額商品を売る時の工数は、少なければ少ないほど良いんです。シンプルなほど頭にスッと入っていきますし、余計なことを考えなければ判断を鈍らせません。
グループや一般的な治療院は、スタッフの人数分の新患を集客しないといけないので、とりあえずたくさん集めてからマニュアルで売るようにしています。
でも一人治療院は一人分の新患集客で良いわけです。
であれば、ある程度マーケティングで絞り込んでしまった方が遥かに楽に、簡単に、自然に高額商品が売れていきます。
まとめ
- 痛みだけで集客した患者さんは離れていくのが早い
- いきなり患者さんにウォンツを聞いてもイメージできない
- 痛みで集客する場合、その先にあるウォンツを絡ませる
痛みにはギックリ腰や寝違えような一過性の痛みもあれば、難治性の慢性的な痛みあります。
でも、あくまで痛みを取ることは手段です。
それを目的にすり替えるような集客やセールスプロセスを組んでしまうと、途中離脱はもちろん高額商品は販売しずらくなってしまいます。
一人治療院は可能な限り無駄を省くことが至上命題です。
セールスプロセスの工数を少なくシンプルにするために、なるべく自然な流れでウォンツを想起させてあげるよう、マーケティング段階でコントロールしていきたいものです。